研究者紹介

谷口俊介  氏 名 谷口 俊介(やぐち しゅんすけ)
 所 属 生命環境系
 研究分野 海洋生物学
 課題名 海産無脊椎動物を用いて体軸形成と神経細胞分化の仕組みを探る
 研究室 http://www.shimoda.tsukuba.ac.jp/~yaguchi/index.html

体軸形成メカニズムの解析:我々ヒトを含め、現存する多細胞生物が三次元の体を構築するためには背—腹、左—右といった各体軸に沿った細胞、組織、器官の正確な分化と配置が必要です。さらに、これらの組織構築が常に正確なタイミングで進行することから体軸間での綿密な情報伝達が不可欠であることが予想されます。これまでの研究から、転写因子FoxQ2が二つの軸形成をつなげるコーディネーターの役割を担っている可能性が示唆されています(Yaguchi et al., 2008 Dev Cell)。そこで我々の研究室では海産無脊椎動物であるウニの胚を用い、一次軸(動—植物軸)形成の情報が転写因子FoxQ2を介してどのように二次軸(口—反口)形成へと伝達していくのか、その詳細なメカニズムの解明を目的としています。
 神経細胞分化メカニズムの解析:神経細胞は自分が受けた情報を次の細胞、組織へと伝達することに特化した細胞です。ウニが成長する過程において、この特殊な性質は受精卵が細胞分裂を繰り返すことで生じる約1000個の細胞群の中で、わずか数個の細胞においてのみ獲得されます(Yaguchi et al., 2006 Development; Yaguchi et al., 2007 Dev Biol)。それでは、1つの細胞が2つに、2つの細胞が4つにと分かれていく過程の中で、将来神経細胞になる運命の細胞達はいつどこで生まれ、どのような仕組みで神経細胞へと分化していくのか?研究室のもうひとつのテーマとして、ヒトの脳でも重要な働きをしている神経伝達物質セロトニンを産生する神経細胞に特に着目して、その分化の分子メカニズムを解析しています。また、神経系が個体の中で果たしている機能に関してもウニの幼生と刺胞動物を用いて研究を行なっています。

    谷口fig.