研究者紹介

三浦謙治  氏 名 三浦 謙治(みうら けんじ)
 所 属 生命環境系
 研究分野 植物生理学
 課題名 植物のSUMO化およびICE1転写因子による環境ストレス応答機構
 研究室 http://www.gene.tsukuba.ac.jp/~kmiura/

 SUMO (Small Ubiquitin-like Modifier)は14kDaからなるタンパク質で、翻訳後修飾により種々のタンパク質を調節する。このSUMOはE1, E2, E3タンパク質によって基質タンパク質に結合する。これまでの研究から、真核生物においてSUMO化により様々なタンパク質の機能調節が行われていることが明らかになりつつある。例えば、転写因子の活性調節、クロマチン再構築、核内局在の調節などである。植物においても同様の機構が存在し、我々はモデル植物シロイヌナズナにおいてSUMO E3 ligase の1つSIZ1を同定した。このSIZ1によって低温耐性、リン酸欠乏、高温ストレス応答、病原菌耐性、花成調節、アブシジン酸応答といった環境的要因に起因するいくつかのストレス応答において重要な役割を果たすことが明らかになってきた。特に低温耐性においてはそのシグナル伝達に重要な転写因子ICE1をSUMO化することにより、その機能を調節していることが明らかとなった。このように植物においてSUMO化は環境ストレス応答に必要であるが、その調節機構はほとんど分かっていない。本研究ではSUMO化の植物における役割及びその調節機構を生化学的、遺伝学的に解析することを目的とする。
 また低温シグナルに関してSUMO化によりICE1が調節されるが、ICE1の活性化に関する機構は分かっていない。そこで我々はICE1の調節機構を明らかにするため、ICE1と相互作用するタンパク質の探索や部位特異的変異を導入してICE1の活性化機構を解明し、より低温ストレスに強い植物を作成することを目標とする。

    三浦fig.