代表者挨拶タイトル

代表者

 科学技術新興調整費「若手研究者の自立的研究環境整備促進」は、若手研究者が自立して研究できる環境の整備を促進するため、世界的研究拠点を目指す研究機関において、テニュア・トラック制(若手研究者が、任期付きの雇用形態で自立した研究者としての経験を積み、厳格な審査を経て安定的な職を得る仕組みをいう。)に基づき、若手研究者に競争的環境の中で自立性と活躍の機会を与える仕組みの導入を図ることを目的に開始された。本プログラムは人材養成システム改革(「日本型テニュア・トラック制」の導入)を目的とするものであり、5年のプログラム終了後には大学独自の取り組みとして継続していくことが義務付けられている。
筑波大学の「次代を担う若手大学人育成イニシアティブ」は平成19年度に採択され実施中である。筑波大学の人材養成システム改革では、先端学際領域センターに平成6年に任期制を我が国で始めて導入した実績がある。本プログラムへの応募に当たり、平成14年度に任期制を導入した基礎医学系と平成17年度から全国に先駆けてテニュア・トラック制を導入した生物科学系が共同して申請プログラムの策定を開始した。その後、物理学系、応用生物化学系の加入を得て、本採択課題を練り上げたものである。これらの先導組織の取り組みに呼応して、筑波大学は平成19年1月、第1期中期目標・中期計画期間中に、全部局においてテニュア・トラック制か任期制のいずれかを導入することを決定した。
一方、筑波大学では、「国際的にも最高水準の学術的成果を生み出すための拠点形成活動を強力に展開し、その成果を大学院や教育研究センターにフィードバックすることにより、既存組織を含む大学全体の教育研究の水準の向上に結びつけるための新たな枠組み」として、平成19年度に学長を機構長とする「戦略イニシアティブ推進機構」を創設した。本「次代を担う若手大学人育成イニシアティブ」はその最高ランクSに位置づけられ、研究スペース、資金、人的支援を大学から受けて実施されている。
本プログラムは、准教授3名と助教12名の若手教員を採用し、各若手教員に1-2名ずつのメンター教員を配置し、研究、教育、管理運営上のアドバイスを行っている。若手教員の自立性を確保するために、それぞれに研究補助者を1名ずつ配すると共に全体で技術・事務職員5名を配置した独立型のコアファシリティー(総合研究棟D)を設置して運営している。
 本プログラムの特徴は、若手教員が組織する「運営調整委員会」が日常的に自主的運営を行うことである。研究実績のある若手教員を採用し、設備の整った研究環境を与え、「研究」・「教育」・「研究マネジメント」能力の向上に向けた惜しみない支援受けた若手教員が、平凡な単なる研究者や教員ではなく、筑波大学および我が国の次代を担う、まさに「大学人」として成長することを切に願うものである。